振り下ろす男
お母さんがビデオを買ってきた。
レンタルビデオをしょっちゅう利用してるお母さんだからあんまり気にしなかった。買ってくるのは珍しいけど。セールで百円くらいだったと言う。
そのビデオのタイトルは『振り下ろす男』。
そのタイトルを見たとき、私はどこかで前にもそんなようなタイトルを見た気がした。でも、その時には思いだせなかった。
さっそくビデオデッキにそのビデオを入れる母。
私は試験勉強があったため、ビデオを見ずに二階に上がった。
勉強している時、やはり何かがひっかかる気がしてならなかった。しかも変な胸騒ぎが。
このモヤモヤを消すため椅子から飛び降り、床をドン! と踏み付けた。
少し休憩しようとし、携帯をいじった。
ブックマークしてあるサイトを上から下までスクロールさせると、あるサイト名に突き当たった。
『奇妙〜kimyo〜』
この文字を見た瞬間にハッとした。
このサイトに掲載されていた怖い話にビデオの話があった。
私の中でも結構怖い話だったので話の内容は覚えていた。
何だかあのビデオ、その話と嫌に一致してないか?
私はサーーーッと血の気が引いた。
このままじゃお母さんが危ないと思い、部屋のドアに体を向けた瞬間、私が見たもの。
血の垂れたオノを持ち、ダランと脱力し口を開けたまま、頭が横に傾いて、目がカメレオンだった。
明らかに人じゃない男が立っていた。
そうか、物音を聞き付けてやって来たんだ…。思考は冷静だが、心臓が高鳴っていた…。
ドアはまだ完全には開いてなくギィィィィィ…と音を立てて残りの少しの分が開いた。
今ちょうど来たばかりという事だとすぐにわかった。
血が垂れているオノを見て、私は硬直してしまった。お母さんは…?
男はゆっくりゆっくり近付いて来た。
一歩、また一歩と私に近付くたび、ニヤ〜と不気味な笑みを浮かべる。
もう目の前まで来ていた。
そしてオノを振り下ろした。
私は机の上にジャンプして避け、そのまま逃げた。
リビングには血を流して倒れている母。動かない。私は泣き崩れた。
すると二階からドアをけり開ける音が聞こえた。
まだ終わってないんだ。
確かこれは停止ボタンを押せば…! と思い、リモコンを手に取った。
しかし、私は気付く。
停止ボタンを押しても、お母さんはもう助からない。
考えている内にも男が階段を駆け降りる音が聞こえる。
お母さんも助けるには…。
もしかしたら…。私はリモコンを見つめた。
そして男がリビングに入って来た。
オノを振り下ろす。
その瞬間、私は巻き戻しボタンを押した。
男とテレビに映っている映像が巻き戻る。
この時初めてテレビに目をやったのだ。男の視線で、私が映っていた。
私と男が部屋で遭遇している時に戻るが、私はリモコンを手にし、リビングにいる。テレビの映像には、私が映っている。
そして男が後向きで来て目の前に倒れている母が起き上がった。
男が母を殺す場面まで来たのだ。テレビにも、実際に私の目の前にも同じ事が起きてる。
しかし巻き戻しなので母は良くなるだけ。
そして男は家からいなくなり、母がテレビを見ているとこまで来た。
巻き戻しを終え、停止ボタンを押した。
「あれ?」お母さんがこっちを見た。
「あれ? あんたさっき二階に上がっていったのに、どうして?」と。
私はその瞬間、安心して緊張の糸が切れたのか、母に抱き着き泣きわめいた。
「え? 何?」
「どうしたの??」
何も言わなかった。その方がいい。もう何もかも終わったんだから。
あの恐怖は全部無かったんだ。すべて終わったんだ…。 泣き終えて心配する母に笑顔を見せた。
「大丈夫だよ。何でもないよ。^^」
すると二階からドン! という音がした。
お母さんがビデオを買ってきた。
レンタルビデオをしょっちゅう利用してるお母さんだからあんまり気にしなかった。買ってくるのは珍しいけど。セールで百円くらいだったと言う。
そのビデオのタイトルは『振り下ろす男』。
そのタイトルを見たとき、私はどこかで前にもそんなようなタイトルを見た気がした。でも、その時には思いだせなかった。
さっそくビデオデッキにそのビデオを入れる母。
私は試験勉強があったため、ビデオを見ずに二階に上がった。
勉強している時、やはり何かがひっかかる気がしてならなかった。しかも変な胸騒ぎが。
このモヤモヤを消すため椅子から飛び降り、床をドン! と踏み付けた。
少し休憩しようとし、携帯をいじった。
ブックマークしてあるサイトを上から下までスクロールさせると、あるサイト名に突き当たった。
『奇妙〜kimyo〜』
この文字を見た瞬間にハッとした。
このサイトに掲載されていた怖い話にビデオの話があった。
私の中でも結構怖い話だったので話の内容は覚えていた。
何だかあのビデオ、その話と嫌に一致してないか?
私はサーーーッと血の気が引いた。
このままじゃお母さんが危ないと思い、部屋のドアに体を向けた瞬間、私が見たもの。
血の垂れたオノを持ち、ダランと脱力し口を開けたまま、頭が横に傾いて、目がカメレオンだった。
明らかに人じゃない男が立っていた。
そうか、物音を聞き付けてやって来たんだ…。思考は冷静だが、心臓が高鳴っていた…。
ドアはまだ完全には開いてなくギィィィィィ…と音を立てて残りの少しの分が開いた。
今ちょうど来たばかりという事だとすぐにわかった。
血が垂れているオノを見て、私は硬直してしまった。お母さんは…?
男はゆっくりゆっくり近付いて来た。
一歩、また一歩と私に近付くたび、ニヤ〜と不気味な笑みを浮かべる。
もう目の前まで来ていた。
そしてオノを振り下ろした。
私は机の上にジャンプして避け、そのまま逃げた。
リビングには血を流して倒れている母。動かない。私は泣き崩れた。
すると二階からドアをけり開ける音が聞こえた。
まだ終わってないんだ。
確かこれは停止ボタンを押せば…! と思い、リモコンを手に取った。
しかし、私は気付く。
停止ボタンを押しても、お母さんはもう助からない。
考えている内にも男が階段を駆け降りる音が聞こえる。
お母さんも助けるには…。
もしかしたら…。私はリモコンを見つめた。
そして男がリビングに入って来た。
オノを振り下ろす。
その瞬間、私は巻き戻しボタンを押した。
男とテレビに映っている映像が巻き戻る。
この時初めてテレビに目をやったのだ。男の視線で、私が映っていた。
私と男が部屋で遭遇している時に戻るが、私はリモコンを手にし、リビングにいる。テレビの映像には、私が映っている。
そして男が後向きで来て目の前に倒れている母が起き上がった。
男が母を殺す場面まで来たのだ。テレビにも、実際に私の目の前にも同じ事が起きてる。
しかし巻き戻しなので母は良くなるだけ。
そして男は家からいなくなり、母がテレビを見ているとこまで来た。
巻き戻しを終え、停止ボタンを押した。
「あれ?」お母さんがこっちを見た。
「あれ? あんたさっき二階に上がっていったのに、どうして?」と。
私はその瞬間、安心して緊張の糸が切れたのか、母に抱き着き泣きわめいた。
「え? 何?」
「どうしたの??」
何も言わなかった。その方がいい。もう何もかも終わったんだから。
あの恐怖は全部無かったんだ。すべて終わったんだ…。 泣き終えて心配する母に笑顔を見せた。
「大丈夫だよ。何でもないよ。^^」
すると二階からドン! という音がした。